おべんきょうノート

自分用です。

安政4年9月2日 松陰→桂

   杉原辰之助組の者自稱吉田氏 榮太郎秀實は無逸

此の生僕甚だ愛する所、前途期すべし存じ候 僕鑑定の處は此の生の名字説其の外書き與へ候詩文にて御承知下さるべく、老兄御目鏡に乗り先々有用と思召され候はば、然るべく御教示頼み奉り候

   杉原辰之助組の者、自称吉田氏  栄太郎秀実、又の名を無逸。

この者僕はとても気に入っており、前途期待出来ると思います。僕が見定めたこの者の名字、主張、その他は書き与えた詩文にてご理解くださるよう、貴方のお眼鏡にかない、先々役立つと思われるならば宜しくご教示お頼み申し上げます。


此の生の心事、小生近況、直々御聞取り下さるべく候 外に小倉健作の事、此の生へ任せ置き候、趣次第御指示頼み奉り候

彼の心中、僕の近況、直接お聞き取りください。他に小倉健作の事、彼に任せています。ご趣向ご指示お頼み申し上げます。

 

其の他宜しきを計り、齋藤父子・櫻仁蔵・松浦竹四郎 未だ歸府せぬか などへ御紹介、小生の近況相通じ度く、邸中にても來島など同斷、相模へども参り候はば來原同斷、その他内外有志のものへも然るべく御頼み仕り候

その他宜しくお取り計らい、斎藤父子・櫻任蔵・松浦武四郎 まだ帰府しないのか などへご紹介し、僕の近況を伝えてほしく思います。邸中も来島同様、相模へでも参るのであれば来原同様、その他内外有志の者へも宜しくお頼み致します。


僅かの在府、迚も讀書と申す程の事は覚束なく、唯だ天下の人物を閲し其の末議を聞き候儀肝要と頼み奉り候 七月の間土屋生への御書轉讀仕り候 時勢論も申し度く候へども、論も亦無益と閣筆仕り候 不盡
  九月二日        矩方拝白
桂小五郎兄  足下

(日数が)僅かな在府でとても読書という程の事は心許なく、ただ天下の優れた人物と会い、その話を聞く事が大切とお頼み申し上げます。七月の間、土屋君への手紙を転読致しました。時勢論も申したく思いますが、論もまた無益と、筆を置きます。不尽

  九月二日        矩方拝白
桂小五郎兄  足下


二白、天下國家の爲め一身を愛惜し給へ 閑暇には讀書を勉め給へ 外に老兄に申すべき事之れなく候

追伸、天下の国家のため一身を愛惜(愛して大切にすること)したまえ。暇な時間には読書を勉めたまえ。他に君に申すべき事はありません。


村田良菴へ 富永彌兵衛 同居生 より添書致し候 是れにて洋學處の光景能々見て歸れと仰せ付けられ候様頼み奉り候 富永が事榮太より御聞取り下さるべく候

村田良庵へ 富永弥兵衛 同居生 より添書致します。洋学所の光景をよくよく見て帰れと仰付けくださるようお頼み申し上げます。富永の事は栄太よりお聞き取りください。