元治元年10月25日 井上・高杉漢詩
元治元年10月25日
身被数創志未灰
何時蹶起払気埃
喜君雄略存方寸
病苦忘来且侑杯
幾創の傷を身に受けたが志は未だ灰になってはいない
何時でも決起し心に積もる塵(ちり)を払おう
勇策を持ち合わせた君は喜ばしく稀有な存在である
共に盃を酌み交わせば傷による苦々も忘れるものだ
二十五日鴻城の井上聞多を訪れ、彼の次に韻す
心胆未灰國欲灰
何人拂尽満城埃
漆身呑炭吾曹事
要護防長坏土來
僕の志は未だ消えてはいないが国は今すぐ灰になる事を望む
誰が一城や町全体の埃を払い尽くすというのだろう
炭を呑み身に塗るような苦心を得るのは僕と同志の仕事だ
防長全土を護るため、行こう
漢詩からすでに高杉の気持ちは長州にいると感じたので、古文の「来(きた)る」ではなく漢文の「来(いく)」で訳しました