文久3年11月6日 高杉→山縣
伝・晋作書簡 (「東行庵だより」平成13年夏号)写本か
御翰拝読候。先日は計らず怱卒申し出、後悔罷りあり候。実は久坂より何たる事も申さず候ゆえ、呈書つかまつり候訳にござ候、其の方、御降恕遣わされるべく候。御調の分、御入金員数相分かり候はば仰せ越されるべく候
手紙拝読しました。先日は思いがけず突然の慌しい申し出となり、後悔を残しています。実は久坂からどのような事か話さないので、(貴方に)書を差し出したという訳でございます。彼は雪免嘆願に派遣されるようです。用意の為の金額がわかったらお伝えください。
御恵投の外は御入金相明り居り候由、それにても宜しき候はば、早々御贈りつかまつるべく候、員数の処御聞かせ、早速頼み奉り候、
恵贈以外は何に使ったかの証明がいるそうで、それでも宜しければ早々にお送りするように致します。使い道をお聞かせくださるよう、早速お頼み致します。
かれこれ面倒の儀申し出、愧じ入り候。御笑下さるべく候。先ずは御断りかたがた、匆々かくの如くござ候。頓首拝白
十一月六日夜
東行拝 千束老兄
色々と面倒事を申し出ており面目ない思いです。どうぞ笑いの種にしてください。まずはご説明をあれこれと(しました)、簡略ですが以上の通りでございます。頓首拝白。
十一月六日夜
東行拝(高杉晋作) 千束老兄 (山縣狂介)
頓首→頭額をもって地を叩く激しい礼。上表文の終わりに用いられる慣用句