おべんきょうノート

自分用です。

久坂と武市、坂本メモ(文久元〜二年まで)

九月、武市半平太土佐勤王党の結成にともない江戸から土佐へ帰郷する際に久坂玄瑞が半平太の墨竹画に題した賛辞詩

挺立ス山厳竹薮竿 故人ノ心事画中ニ看ル 男児ノ再会期シテ得難シ 唯喜ブ清風ノ座ヲ襲ウテ寒キヲ
武市君ト別ルル席上酔ウテ題ス

別時何必説平生 画竹贈吾無限情 従茲白露金風夕 独対此君斟酒コウ
題武市君所贈竹言別辛
酉九月初二日也
久坂玄瑞

厳かな山の竹薮から竿が真っ直ぐ突き立つ。旧友の心中をその墨画内に捉える。我らの再会は予期するのも難しい事だ。ただめでたいと喜んでいた爽やかな席を襲う寂しさを。

武市君と別れる(会合の)席の上、酔って題する。

普段別れる時、何を話せばいいのだろう。墨竹画を贈られた私は心が余りある。従ってここに白露、秋の風、夕陽を合わせた程の価値ある君と盃を持って酒を酌み交わそう。

題、武市君に贈る竹の声別れ難き詩歌

文久元年九月二日

久坂玄瑞

題訳にセンスないのはすみません。

ご機嫌な久坂さんです。会合の時に題したのかな。武市さんととても気が合う様子なのがわかります。少なくともヨイショ しているようには見えないなぁ…。

 

「江月斎日乗」より坂本龍馬久坂玄瑞を訪ねた部分を抜粋

文久二年正月

十四日、曇り、土州坂本竜馬、武市書簡を携えて来る 松洞に託す 夜前街道の逆旅に宿せしむ

十四日、曇り。土佐 坂本龍馬、武市殿の書簡を持って来る。(松浦)松洞に預ける。昨晩、街道(松本村)の旅館に泊まる

 

十五日、晴れ、竜馬来話、午後文武修行館へ遣す この日佐世、寺島、岡部、松洞など来る 藁束を切る 是日詩経休、坂本生などの周旋もこれありを以って也  (略)

十五日、晴れ 竜馬が来て話をする。午後、文武修行館へ向かわせる。この日、佐世(八十郎/前原一誠)、寺島(忠三郎)、岡部(富太郎)、松洞などが来る。松門生と藁束を切って、この日は詩経は休んだ。坂本君の周旋があっての事だ  (略)

 

十六日、晴れ、佐世、寺島、松洞来る

十六日、晴れ。佐世、寺島、松洞が来る

 

十七日、晴れ、訪土人薩人、この日山根、吉松、太楽などの所に参る

十七日、晴れ。土佐人、薩摩人が訪れ、この日に山根(孝中)、吉松(淳蔵)、太楽(源太郎)らの所に行く

 

十八日、夜雨、風邪にて引きこもる

十八日、夜に雨。風邪にて引きこもる

 

十九日、大雪、風邪、真吾、松洞など来

 十九日、大雪、風邪。真吾、松洞などが来る

真吾は堀真五郎の事でしょうか?

廿日、雨、風邪、中谷賓卿来宿、松洞、寺島など来る

二十日、雨、風邪。賓客として中谷(正亮)が宿に来る。松洞、寺島らが来る

松洞すごく来てるね 

廿一日、晴れ、土人寓する修行館を訪れ、この日薩人訪れる 中谷と同行

二十一日、晴れ。竜馬が仮住まいとしている修行館を訪れ、この日、薩摩の者が訪れる。中谷と同行する

久坂が龍馬に武市への書簡を預ける

廿二日、昨夜より風邪につき付臥

二十二日、昨夜より風邪につき床に伏せる


廿三日、この日をもって土州人去る 午後薩人訪れる

二十三日、この日をもって竜馬たち土佐の者が去る。午後、薩摩の者が訪れる

 

坂本龍馬はこの後「脱藩」

松陰先生の時もそうですが、損得勘定よりも国を憂いて真っ直ぐ突き進む彼らに対して憧れに近い感情を持ったりする人もいるのかもしれない

 

 

二十一日に竜馬が預かった、久坂から武市への書簡の一部

諸侯たのむに足らず、公卿たのむに足らず 草莽志士糾合の外にはとても策これ無き事と、私共同志中、申合せ居り候事に御座候 失敬ながら、尊藩も弊藩も滅亡しても大義なれば苦しからず

大名、臣下に頼んでも足りず、公家に頼んでも足りず。草莽志士が集まり一丸となる他に策はない事と、私共同志内では申し合わせております。失礼ながら、そちらの藩もこちらの藩も、例え滅亡したとしても国に忠義を尽くし道義を示せば後悔はありません。

 

その二日後の薩摩の樺山三円宛書簡の一部

第一に現状では藩と藩が合体する事は万々一にも不可能であるから、互いの藩政府を度外視して各藩の有志が相互に連絡して尊攘を実現すべき 第二に、大名の存続のみ懸念してきたが、大名の家が幾百万年続いても天朝の叡慮が貫かれなければ何にもならない 一日も早く天朝の叡慮を貫くよう尽力すべき

第一に、現状では藩と藩が合体する事は万が一にも不可能でありますから、互いの藩政府を客観的に見て各藩の有志が相互に連絡し合って尊王攘夷を実現すべきであります。

第二に、大名の存続のみを懸念してきましたが、大名の家が幾百万年続いても天皇、天子のご意志、お考えが貫かれなければ何にもならない。一日も早くそうするように力を尽くすべきです。

 

この後、三月に長井雅楽を激烈批判、七月に暗殺を計画…と時代が廻っていく