おべんきょうノート

自分用です。

大村益次郎 下張り書簡③

井上聞多からの書簡を2通。

襖の下張りとして使われていた書簡なので詳しい時期などは不明です。

 

内容はやっぱりお金のこと

華墨難有拝誦仕候、今朝嘉蔵迄御渡の金子慥に落手仕候、大きに御配意段奉多謝候
お手紙有難く頂戴し、拝見致しました。今朝嘉蔵(後の前原巧山)にお渡しの金子、確かに受け取りました。大いにご配意をいただき本当に感謝致しております。

 

一小判御入用の由、来春出山の節持参可仕候
一、小判が入り用の訳は、来春山口を出る時に持って行きたいからです。

 

一井上氏判金の義、相場先日も御噺仕様御撫育方にて四両二部(ママ)の積に被相渡候故、引下け候義実は迷惑に有之、何卒弐歩に御渡ともは出来申間布也、其内不都合に候得は御申越可被遣候
一、井上氏の判金の件、相場を、先日もお話したよう撫育方での四両二分のつもりでお渡しされる為、引き下げの話は正直なところ迷惑であり、どうか、弐歩(二分判金?)をお渡しするのも出来ません。近々不都合になりましたら遣いをこちらへ寄越してください。

 

一当所も明日切仕舞候積にて、廿四日には小郡出浮候、家代残り銀の義は明春にても宜敷、其内便りも御座候得は御差越被遣候様奉頼候、右は御答のみ、他は期来春拝顔申上候、匆々敬白


十二月廿二日

一、この場所も明日で終いにするつもりですので、二十四日には小郡を出ます。家賃の残りの金は明春にでも宜しくお願いします。その内便りもあると思いますので、遣いを寄越します。以上はお答えのみ、他はまた来春お会いした時に申し上げます。匆々敬白


十二月二十二日

小郡→現在の山口県山口市

二白、先日井上氏御渡判金相場の儀にて彼方より馬関にて御乞合候との御噺有之、候故前断の情実を以二歩より引下け候義は、相断候様為含申越候処、意味違ひ小生え聞合取極不都合の段申来り、尊君の方へも申越候様相考、御察可被下候、夫故決て御仰越被成候様察申上候、為御含申上候、以上
                                高田春太郎
大村益次郎
                 内用

追伸、先日井上氏にお渡しした判金の相場の件は彼方より馬関にて協力をお願いされているとの話があり、前に断った経緯から二分からの引き下げは断るよう申し含めたところ、話が食い違い、私へ「聞き合わせすると都合が悪い」と言って来ましたので大村先生の方へも言ってくるかもしれないと考えました。ご理解くださいませ。それゆえお察しの上命じられますよう心に留めてください。以上。

                                高田春太郎
大村益次郎
                 内用

高田春太郎は井上聞多の変名です。

 

手紙の一部

(前文 欠損)且亦過日御噺申上候様、一隊歟二隊歟異変の節帰山、乍不肖一方の将と相成見度候間、若し相成事に候はゝ、来春早々にても一応罷帰り、
(前文 欠損)且つ、また先日お話申し上げましたが、一隊か二隊か変事で帰山の時、不運な事に相手方の大将と相見えました。もしそうなりました事であるならば、来春早々にでも一応帰ります。


其命丈兼て奉承度、且兵士えも一応面をしらせ置候得は、都合よろしく相考へ居申候、且々何分後便御聞せ可被成下候、匆々頓首

廿三日

                    井上聞多
                                春太郎

その命は以前より承りたく、兵士へも一度顔通しさせておくのが都合が良いと考えております。どうか次の便りにてお聞かせください。匆々頓首

二十三日

                    井上聞多
                                春太郎