おべんきょうノート

自分用です。

大村益次郎 下張り書簡②

山田市之允からの書簡を3通訳

襖の下張りとして使われていた書簡なので詳しい時期などは不明です。

 

用事メモみたいな

前略先日は御妨申上候、其節御談申上置候薩摩書翰、六十六年式大隊教練差送申候間、慥に御落手可被下候、為其早々拝白


七月初五
                    市之允
尚々御不用に相成候はゝ早々御送返奉希候、以上


大村先生
                 坐下

前略、先日はお邪魔致しました。その節にお話しました薩摩の書翰、六十六年大隊の教練の件をそちらへ送りました。確かにお受け取りくださいますよう謹んで申し上げます。


七月五日
                 市之允
尚々、ご不用になりましたら早々に返送いただきたくお願い致します。以上。


大村先生
                 坐下

六十六年=1866年(慶応2年)の事でしょうか。西暦自体は江戸時代から存在したとは思いますが…銃器の名称でしょうか。

 

奇兵隊の件で

昨夜は御談拝聴難有奉存候、其後幸に奇兵隊片野十郎林半七に面会仕、御談の次第も荒増申含候処余程同論にて早速山県狂輔其外え帰陣の上相談仕、来る廿五日期限にて山口罷出候様一決仕候、
昨夜はお話を拝聴させていただき有難うございました。その後幸いにも奇兵隊 片野十郎、林半七に面会出来、話の概要を申し伝えましたところ、同感であったので早速山縣狂介その他が帰陣しましたら相談致します。来たる二十五日までに山口を出るよう決まっております。

 

就ては御軍政府より諸隊惣督参謀の者両三人宛御呼出に相成、気付筋申出候様御沙汰有之候へは、無此打て妙手段に御座あるへくと奉存候、何卒幾へも御勘考の上御周旋の程奉希候、何れ近々又々拝鳳萬端申上候、早々啓白
よって、軍政府から諸隊総督、参謀の者三名宛に呼び出しがありました。「気付筋を申し出よ」との指示があり、これは少し手段としてはおかしいだろうと思います。どうぞご考慮いただき、周旋の程をお願い致します。いずれ近い内にまたお会いした時に事の諸々を申し上げます。早々啓白

気付筋→本人の住所、所在地ではなくその師や友などの住所、所在地の意味

尚々白井小輔も一昨日より隊中へ罷越、狂輔其外の論も有之、何れも同腹同心尽力の覚悟と相見へ申候、白井も出山の節は同伴御尋可申上候、以上

廿四日
尚々、白井小輔も一昨日より隊中へ参上、狂介その他の意見もあり、いずれも同じ腹の内、同じ志を持ち、尽力の覚悟が見えました。白井も山口を出る際は同伴の上でご訪問させていただきます。以上。

二十四日


此度冷泉少し失策有之、 不都合の次第も御座あるべく存候へ共、是亦付御面談候、以上


                     市之允
大村先生 坐下

この度、冷泉(雅次郎)に少々失策があり、不都合な事もありますが、これもまた面談にて。以上


                     市之允
大村先生 坐下

 

小躍りが可愛い市之允

残暑未除候処、愈以御清毫御勤被成奉賀候、扨一昨日冷泉氏帰陳、御高論承及萬々敬服仕候、私先達て来廟堂へ論込候次第も大同小異と奉存候、即別紙大略相認申候、
残暑も未だ残るところ、益々ご清勤なされておりお祝い申し上げます。さて一昨日冷泉氏が帰陣。優れた意見を承りますます敬服しました。私は先立って朝廷へ行きましたが、論は大体同じで大差ないと見受けます。別紙にてあらすじを認めました。


右に付先日来拝鳳相願度存候へ共、始終不幸にして不得拝話、遺憾罷在候中冷泉氏帰来、乍蔭雀躍罷在候、乍併奇兵隊の論は少々相違も御座あるへく様奉存候、
右について、先日お越しいただいた時に面談を願っていましたが、始終不幸にも予定が合わずお話は叶いませんでした。遺憾である中、冷泉氏が帰って来ましたので心中雀躍しました。しかしながら奇兵隊の意見は少々事の違いがあるように感じます。

雀躍→雀が小躍りする様喜ぶ事

何卒急(破損)得拝話、萬緒申上度候処、御用繁中如何して可然御座候や御指揮奉待候、陶御宅へ参候て可然候へは御帰宅の節御尋申上度奉存候、若近々御帰宅無御座候へは、山口へ罷出拝鳳可申上候、
なにとぞ急(破損)ご相談したく、あれこれと申し上げたいところ、藩用がお忙しい中どんな風にすれば良いのか指示をお待ちしています。先生宅へと参じるのが良ければお訪ねし、ご帰宅の際に申し上げたく思います。もし近々お帰りにならなければ、山口へ参りましてお会いしたく申し上げます。


何卒御閑暇の日限被仰越被下候はゝ難有奉存候、先は右御乞合迄如此御座候、早々不尽
八月五日


市之允拝

どうぞお暇な日を仰ってくださると有難く思います。まずは右の分(歌舞伎囃子の乞合のように)ご協力ください。早々不尽
八月五日


市之允拝

不尽→気持ちを充分に書き尽くしていない様